「自宅なのに自宅じゃない」妻と仕事と育児の板挟み

すべてにおいて完璧を求める妻、完璧にこなしたい仕事

 

「どうしてもっと協力してくれないの?」

「そうじゃない!やり方が違う!」

「前にも言ったよね?何回目?」

 

家に帰ると、息をつく暇もなく発せられる妻からの家事・育児への協力を求める声に疲れきっていませんか。時には「家事・育児を強要されている」と感じることすらあるかもしれません。

 

このようなパパはたくさんいます。あなただけではないのです。なぜ妻は全てにおいて「完璧」を求めるのでしょうか。特に育児は「オムツの替え方が違う」「あやし方が下手」となじられたり、もっと子どもが大きい方なら「反抗期の子どもの気持ちも分からないの?それで父親?」など、胸をえぐられる言葉をぶつけられたりと、悩まれている方も多いです。

 

「仕事だって完璧にこなさなければ。自分の双肩には家族の生活がかかっているのだから。」

 

そんな仕事のプレッシャーと、きつく当たる妻、待ってくれない育児に板挟みになっていませんか。

 

「自宅なのに自宅じゃない」

 

自宅に帰ったら安らぎが欲しい。癒しが欲しい。せめて睡眠時間が欲しい。そう思いますよね。でも手に入らなくて、それどころか妻は攻撃的だし、子どもは自分につれなかったり、まるで自分を空気のように扱ったりしてきて辛い。それはまるで「自宅なのに自宅じゃない」かのようです。

 

そんな悲痛な心の叫びを、どうか無視しないでください。放っておくと不眠やうつにつながったり、離婚問題に発展することだってあります。一緒に解決策を探ってみませんか。

 

 

育児スキル不足は自分のせいなのか?

 

ここで思い返していただきたいのは「自分が育児スキルを習得する時間があったか」ということです。もしかしたら仕事が激務で、育児はほぼ妻に任せきりだったかもしれません。あるいは、妻の里帰りが非常に長く、なかなか子どもと接する機会が無かった。単身赴任で家族との時間を確保することすらままならなかった……いろんなケースがあります。

 

中には「始めは泣くか寝るかしかしない赤ちゃんに興味を持てず、育児に参加しなかった」というパターンもありますよね。

 

いずれのパターンでも、妻は「父親なのだから母親と同じようにできて当然」と考えていて、それでぶつかっているということが大いにありえます。

 

妻視点ではこう映っているかもしれない

 

私は二児の母です。夫は非常に家事・育児に協力的で、夫婦仲も良好です。しかし、初めからそうだったわけではありません。「産後クライシス」―――産後に夫婦仲が一気に悪くなり、離婚にまで発展することもあるという状態を表した言葉ですが、一人目の子どもを出産後、その二、三歩ほど手前まではいったことがあります。

 

当時、私が夫に対して思っていたことは「なぜ分かってくれないのか」。出産前に沐浴について話したけど使うアイテムを覚えていない。今の季節、赤ちゃんの肌着はそれじゃない。抱っこはもっと首を支えて。哺乳瓶をくわえさせる角度がおかしい。すべて「なぜ分かってくれないのか」でくくることができます。

 

冷静に考えると「沐浴をするということを知っている」「肌着を自分で考えて選んでいる」「抱っこをしてくれる」「ミルクを飲ませてくれて、その間はフリーになれる」と置き換えることができます。

 

置き換えず、マイナスでとらえていたのです。

 

妻との歩み寄りできるポイントを探る

 

このような状態でいがみ合っていても、解決にはつながりません。どこかで、お互いに歩み寄る必要があります。大切な子どものためにも夫婦仲は良好にしておきたいものです。妻が求めているのは「共感」です。もちろん「協力」も求めていますが、「協力」よりは「共感」がより強く求められます。これは、女性は原始の時代、多くの女性で誰の子どもでも分け隔てなく集団で育児をしていたという種のルーツ、そこに理由があると言われています。他の人間と協調して生きなければ、自分の子どもが危険に晒されるという状態だったのです。

 

では、具体的には何をすれば良いのでしょうか。

 

 

私が夫にしてもらってうれしかったこと

 

私の体験談となりますが、産後クライシス手前の状態を解消できた一番のポイントは「夫に何をして欲しいか伝えること」でした。

 

私の場合は産後の里帰りが長くなり、初期の段階で夫が育児に関わるチャンスを奪ってしまっていました。このことに気が付いたのは、だいぶ後になってからでした。

 

そんな状態なので、夫は私より育児に不慣れな状態でのスタートとなり、私にとっての「当たり前」は夫にとって「未知の世界」ということがしばしば起こっており、それによりすれ違いが生じていました。

 

何をして欲しいが伝えること、時には「私の話を遮らず、とにかく最後まで聞いて。具体的なアドバイスはいらない、単なる愚痴だから」と伝えて辛さを吐き出させてもらうこともありました。

 

この体験から思うことは「分からないことは分からないと伝える」「考えを否定せず、いったん受け止める」のが大切だということです。仕事では短時間でより良い結果を出さなければいけない、相手より優位に立ちたいなど、そこに焦点を当てた話し方をしているかもしれません。しかし、家庭ではそれを封印してみてください。

 

それからぜひ実践していただきたいことは、妻が育児に追われている時(子どもを着替えさせている、食事をあげているなど)に「今のうちにやっておいたら良いことって何かある?」と聞いてみることです。妻側としても「お皿洗ってほしいな」「ちょっと洗濯機回しといてくれる?」「出かけるから、子どもの持ち物を用意して欲しいな」と具体的に伝えられるから助かります。

 

これを繰り返すと、だんだん妻も夫の頑張りや歩み寄りに気づきます。すると「夫は頑張ってくれているのだから、多くを求めすぎるのは良くないな」と思えるようになるのです。また、夫側の家事育児スキルも上がり、求められていることを効率よくこなすことができるようになります。

 

子どもはパパとママの関係をよく見て、肌で感じ取っています。妻との関係改善の第一歩を踏み出し、同時に子どもを含め家族全員が家庭で居心地よく過ごすために、少し行動してみませんか?

 

著者:上坂亮子

小1女児と0歳男児の母。

産後うつを乗り越え、ママライターとして活躍中。

夫との関係は良好だが、ごくたまに衝突することも。

いまではすっかりイクメン・カジダンとなった夫に感謝の日々を送っています。

  • 2021-01-13
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